キイハンター 34話は、国際警察諜報部員としてパリに派遣されていた黒木鉄也(丹波哲郎)が任務に背いた過去!敵のスパイ(キャシイ・ホーラン)と恋に落ちマレー半島へ逃亡。第二次世界大戦(大東亜戦争)の傷痕が絡む非情の殺し!
第34話 墓を掘る殺し屋たち (共同調査:NWP夏目プロダクツ) |
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仮題 | 墓を掘る殺し屋たち(台本#29⇒34) | |||||||||
シリーズ名 | - | |||||||||
放送 | 68.11.23 | |||||||||
脚本 | 佐藤純弥(佐藤純彌) | |||||||||
撮影 | 下村和夫(1975年度日本テレフィルム技術賞・受賞) | |||||||||
監督 | 佐藤肇(佐藤肇・回顧録) | |||||||||
役名(台本) |
上村剛 リエン 孫英基 揚永昌 劉 ヴェラ(黒木の恋人) 崔 張 陳英勲 刑事A 警官 モオ刑事(マランポール警察) アナウンサー |
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出演 | 黒木 | 啓子 | 島 | - | 風間 | 村岡特別室長 | - | - | - | - |
主演 | 黒木鉄也 | |||||||||
ゲスト |
宇佐美淳也 シリア・ポール 室田日出男 春日章良 武内亨 相馬剛三 河合絃司 久地明 キャシイ・ホーラン 植田灯孝 佐川二郎 山浦栄 久保比佐志 |
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某国 | マランポール | |||||||||
協力 | - | |||||||||
類似作品 | アイフル大作戦 35話「東京-沖縄 華やかな大追跡」 | |||||||||
備考 | 制作過程の詳細は「佐藤肇回顧録 恍惚と不安」で読める。 |
キイハンター 第34話 墓を掘る殺し屋たち あらすじ(ストーリー)
黒木鉄也は二年前のことを思い出していた。第二次世界大戦(大東亜戦争)中の日本軍特務機関員による略奪に対し、賠償を求める<血の負債追求委員会>という組織がマレー半島某国・マランポールで結成された。彼らは日本軍が略奪し埋めた2億ドルを掘り出そうと現場へ向かったが、射殺された女性・ヴェラの死体を発見する。しかも二億ドルは何者かに横取りされていた。現場には黒木鉄也の姿もあった。
射殺された女・ヴェラは当時、国際警察特別室諜報部員だった黒木の恋人だった。彼女はスイス政府から派遣された諜報部員でもあり、黒木がパリへ派遣されていた時知り合った女性だった。ヴェラをスイス政府から派遣されたスパイと知り愛してしまった黒木は、任務に背きヴェラとともにパリを出国。マレー半島某国・マランポールへ逃亡した。
そのマランポールでヴェラが殺害され犯人を割り出そうとするが、マランポール警察のモオ刑事は黒木の捜査を拒否。国外退去処分となった黒木は日本に帰国するしかなかった。
二年後、黒木は国際警察・村岡特別室長に呼び出された。<血の負債追求委員会>のメンバーだった孫英基、陳英勲、楊永昌の3人が来日したらしい。村岡は黒木に彼らの来日の目的を探るよう依頼する。
黒木はヴェラを殺した犯人が来日した3人の中にいると睨み、真相を探るべく彼らに接触しようとする。孫英基が宿泊しているホテルに出向いた黒木は、孫が警視庁刑事に逮捕される現場に遭遇する。刑事は孫が麻薬を所持していたと黒木に告げるが、黒木は村岡が密告して逮捕されるようにしたのではと疑い、村岡を問いただすが村岡は知らないと言い放つ。
キイハンター 第34話 墓を掘る殺し屋たち 解説・見どころ
- 黒木鉄也のパリ時代の出会い、マランポールでの悲恋
- マレー半島での戦争犯罪
- 人間・黒木鉄也、諜報部員・黒木鉄也
第二次世界大戦(大東亜戦争)中、日本軍が華僑から強奪し隠匿した2億ドルの金。マレー半島での惨劇と戦時中の賠償を日本政府に要求する組織の存在。そして黒木鉄也の苦い過去が絡んで展開する社会派ハードボイルド・サスペンス!高水準なテーマで贈るモノクロ時代の傑作である。
人間を悪魔にも変える戦争への痛烈な問題提起。そして恋人の死に隠された真相とは・・・?出だしから引き込まれる構成だ。尚、当時人気のシリア・ポール氏がリエン役でゲスト出演。画面に花を添えている。インド人を父親に持ち、小学1年の時、松竹映画「亡命記」で佐田啓二、岸恵子両氏の子供として出演した経歴を持つ。
後の「アイフル大作戦」 35話「東京-沖縄 華やかな大追跡」(沖縄編)の原型でもある作品。今回はユミちゃんがお休み。
キイハンター 第34話 墓を掘る殺し屋たち 佐藤肇回顧録
「墓を掘る殺し屋たち」が当時、企画されては諸事情で何度か制作が流れた経緯が詳しく語られている。その名残がシナリオナンバー打消しでも感じられる。佐藤肇監督がキイハンターを初めて手掛けた作品は5話「必殺の瞬間」だが、予定では「墓を掘る殺し屋たち」が企画としては第一作だったとのこと。作品を視聴すると、佐藤肇監督がシナリオを手にし、かなり惚れ込んだテーマだと改めて実感。
尚、戦時中のマランポールに見立てたシーンは、佐藤肇監督によると桜ヶ丘造成地だったそうだ。
キイハンター 34話 放送当時の資料(新聞記事)
※サンケイスポーツでの大見出しつき番宣記事発掘!毎回このような豪華な解説記事があればどんなにありがたいか。TVガイド誌を調査してもスチールはおろか、解説記事すらない回も少なくない。
34話は黒木(丹波哲郎)の過去が明らかにされるエピソードだけに貴重!1977年の図書委員(高校時代)の特権を活かした調査から45年。ようやく日の目を浴びたエピソード。この作品は黒木のハードボイルドさを前面に押し出した傑作。佐藤肇監督入魂の作品でもある。
※放送当時の番組表(関東版)。現代と違ってバラエティだろうがドラマ(テレビ映画含む)だろうが、時間枠がキッチリ決まっている番組表は眺めていて気持ちがいい。ドラマも時代劇、アクション、ホームドラマなど多彩で実に楽しい時代だった。
関西在住だった当時、土曜日の鑑賞メニューは、18時「マッハゴーゴーゴー」、18:35「夕やけ番長」、19時「巨人の星」、19:30「お笑い頭の体操」、20時「素浪人月影兵庫」、21時「キイハンター」というごちそう。たぶん関西も同じ編成だったと思う。
土曜日は宿題があろうがなかろうが22時までテレビを見せてくれた両親に感謝!しかし、「巨人の星」「夕やけ番長」以外、ストーリーはほとんど記憶に無し。21世紀になってCSでの再放送や録画鑑賞、DVDなどコンテンツ購入でじっくり高画質で鑑賞できる現代。本当にありがたい世の中である。