Gメン75

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職

Gメン75 33話

Gメン75 33話は、関屋警部補(原田大二郎)最後の疾走!1976年新春、モーゼル銃を持った狂気の脱獄囚(溝口瞬亮)と高層団地屋上での銃撃戦

第33話 1月3日 関屋警部補・殉職
仮題 1月3日・関屋警部補・殉職(シナリオ#33)
関屋警部補・殉職(ノベルズ1巻)
シリーズ名
放送 76.1.03
脚本 高久進(池田和雄、井口真吾)
撮影 下村和夫(1975年度日本テレフィルム技術賞・受賞)
監督 鷹森立一
役名(台本) 遊佐哲次
雅代
中川(落合 から変更)
朱美
安岡
早川
看守A
看守B
刑事A
ホステスA
ホステスB
パトロール警官A
パトロール警官B
郵便配達員A
郵便配達員B
新婚の夫
新婚の妻
出演 黒木 関屋 草野 山田 津坂 圭子 小田切
主演 関屋警部補
ゲスト 溝口瞬亮(滝俊介/江戸川乱歩シリーズ明智小五郎、明智小五郎)
土井かつえ
東晃声(出光元)
内藤杏子
根岸一正
土山登士幸
小林稔侍バーディ大作戦/行内刑事、Gメン75スペシャル/鬼沢平吉警部)
亀山達也
山浦栄
片桐陽子
村松美枝子
山田光一(山田甲一)
五野上力(斎藤力、斉藤力、五之上力、五ノ上力)
横山繁
宮地謙吾
小池栄
池田恭子
加野理恵
小野寺純子
協力
類似作品 【プロット継承】
Gメン75 306話「サヨナラGメンの若き獅子たち!」
Gメン75 317話・318話「女の裏窓24時間」
撮影日
備考 関屋警部補(原田大二郎)・最終編
ノベルズ1巻収録

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職 あらすじ(ストーリー)

1975年大晦日の夜、警視庁の小田切警視がGメン本部を訪れていた。殺人犯の遊佐哲次が前橋刑務所を脱獄したという。遊佐は、無期懲役で服役中の身だった。黒木警視と協力して自分を密告し刑務所に送り込んだ愛人・雅代を狙っていた。彼女が男を作ったことを知っての脱獄である。

Gメンは正月休み返上で捜査にあたるが、脱獄した遊佐は隠しておいた拳銃で警官を殺害、新婚夫婦の乗用車を奪い都内へ潜入!復讐鬼と化して雅代の居住先を探す。

団地で夫の帰りを待つ雅代を全員でガードするGメンだが、関屋警部補は団地内に入ったまま出てこない郵便局員を不審に思い追跡する。

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職 解説・見どころ

Gメン75 33話
  • 関屋警部補・最後の死闘
  • 黒木警視が雅代に協力を申し出るシーン
  • 関屋と遊佐の銃撃シーン

22話「警視庁殺人課」を最後に欠場した後、32話「死んだはずの女」で復帰。そして翌週にあたる今回でいきなり殉職。このシチュエーションは、当時一大旋風を巻き起こした。長髪でドッレッシー、バイタリティあふれるリーダーシップで土曜夜9時に新風を吹きこんだ若き警部補の突然の降板に、多くのファンが涙した。

その死は、クライマックスまで殉職が予感できない展開だった。厳密に言えばストーリーの主軸は関屋警部補(原田大二郎)単独ではなく黒木警視(丹波哲郎)、小田切警視(夏木陽介)以下全員ともいえる。

関屋は脱獄犯・遊佐を発見、追跡、そして壮烈な銃撃戦!絶妙な編集テクニックもクライマックスを一気に盛り上げる!かくして33話はGメン75で最も印象に残るレギュラー最終編となった。

思えば第一話「エアポート捜査線」、結婚を誓い合ったフィアンセ・朝倉節子(田中真理)を失い、失意と哀しみを背負って登場した関屋警部補。

脚本・高久進、撮影・下村和夫、監督・鷹森立一。第一話と同じ巨匠がラストをも手がけるという贅沢さ。関屋一郎警部補は、正に「Gメン75」の黎明期に重要な役割を果たしたレギュラーだった。最後の銃撃シーンのカット割り。ここは必見!数ある刑事ドラマの殉職シーンでも記憶に残るクライマックスに仕上がっている。

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職 当時の記事

狂気の復讐鬼を追え

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職
※画像は32話「死んだはずの女」と思われる
出典:週刊TVガイド

大晦日の夜、殺人犯の遊佐が脱獄した

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職
出典:毎日新聞

原田大二郎はなぜ殺されたか?

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職
Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職
Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職


※Gメン75・東映大泉撮影所での当時の様子が垣間見れるイラスト。【セットA(Gメン本部)、セットB(アパート)、セットC(夏木陽介の部屋)、セットD(セミレギュラー中丸忠雄の部屋)-原文のまま-】
Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職

スタジオルポ Gメン75壮絶!

撮影中のスタジオイラストつき

Gメン75 最初の殉職「関屋警部補」の特集が、「平凡スタア(76・3月号)」にて大きく掲載された。見開き8ページで東映撮影所内のGメンルーム周辺のイラスト付き。当時の記事の一部を抜粋して記録。学校帰りの小学生が友人を引き連れてロケ見学したり、サインを求めたりでかなりの騒ぎだった様子が感じられる。中には記念撮影してもらった方もいたとか。なんともうらやましい体験である。

ロケ現場となった高島平団地は大騒ぎ

冷たい北風が肌を刺す真冬の昼下がり。14階建ての高層アパート群が林立する高島平団地(東京・板橋区)の一角に、白いベンツが静かに止まった。

「おはよォス!」

黒いスーツ姿の倉田保昭が、さっそうと降りてくる。すかさずスタッフの一人が駆け寄って、きょうの撮影スケジュールを手短に告げた。「大ちゃん(原田大二郎のニックネーム)は、3時に死にます」つづいて、藤木悠が愛車オペルに乗ってあらわれる。あわててストップをかけたのか、キーッと急ブレーキの音が響く。その助手席には、岡本富士太がちょこんと同乗していた。腹を突き出して歩いてる藤木に、団地内をパトロール中の警官がサッと敬礼。これには岡本もビックリした。

「さーすが!藤木さん。本職のお巡りさんに挨拶されるなんて!」
「そりゃ、岡本クンとはキャリアがちがうよ」

大きく胸を張る藤木は、『アイフル大作戦』、『バーディー大作戦』、そしてこの『Gメン75』(いずれもTBS系)と、一連のこの時間帯のドラマでは、ずっと刑事役ばかりやっているからだが、「でも万年ヒラ刑事でしょう。早く出世してくださいよ」岡本も負けずにやり返した。・・・・(後略)・・・・

「テスト!ヨーイ、スタート!」

鷹森監督の声が寒空にこだまする。14階建ての屋上にカメラをすえて、いよいよクライマックス・シーンの撮影だ。血ノリ用の真っ赤な塗料を壁にベットリと塗り、その前で原田は凶弾に倒れるシーンを繰り返し練習する。頭から前のめりに一回転するたびに砂ぼこりが舞い上がり、コンクリートに頭をぶつけるゴツンという不気味な音まで聞こえる。濃紺の背広はみるみるうちにほこりまみれになる。髪の毛もザンバラ。そのたびにメークの女性スタッフがかけよって顔を直す。

「大ちゃん、倒れるときのタイミングに注意して!」

鷹森監督の容赦ない注文に、わきでじっと見守る丹波や夏木らレギュラーメンバーたちの顔も真剣そのものだ。・・・・(後略)・・・

撮影に部屋を貸した家は火事場騒ぎ

「Gメン75」の敵は天候である。撮影は2話並行して、16日間で撮らなければならない。1話のカット数は、約450カット。その3分の2以上が、屋外でのロケーションだから、雨でも降ればスケジュールがずたずたになってしまう。・・・(後略)・・・

※見開き8ページの撮影現場特集
出典:平凡スタア(76・3月号)

Gメン75 33話・関屋警部補殉職 当時の資料(シナリオ、スチール写真、ノベルズ)

Gメン75 第33話 1月3日 関屋警部補・殉職
Gメン75 33話
Gメン75 33話
※Gメン75 33話・鷹森班(1975年12月25日作成資料・DBRoll表)

Gメン75 33話
Gメン75 33話
※シーン109、団地廊下を走る関屋のシーンの後、110から最終シーン111までの遊佐哲次(溝口瞬亮)と関屋(原田大二郎)との銃撃戦。台本ではおおまかな記載だったが、現場ではかなり綿密な打ち合わせと編集があったことが実感できる。

撮影では倒れた関屋に黒木(丹波哲郎)が歩み寄るシーンで幕引きにしようと考えたようだが、最終的にはシナリオどおり立ち尽くすのみとなった。昭和51年6月10日に第一刷が発売されたノベルズ1巻「Gメン75」掲載の「関屋警部補殉職」でも本編と同じ。

以下のようなスチール写真が存在するが、関屋警部補の最後は黒木以下全員の歩み寄りで幕引きとなる案だったと思われる。

Gメン75 33話

Gメン75 33話
Gメン75 33話
※Gメン75 ノベルズ1巻「関屋警部補殉職」、2巻「まえがき」より。複数の殉職シーンが撮影されたのか本編とは異なり、団地の柵をバックにした関屋の被弾、転倒シーン。

関屋警部補の指輪|本編では触れられてなかったエピソード(ノベルズGメン75 1巻)

Gメン75 関屋警部補殉職

そのほか、本編では明かされてないがノベルズ1巻では、1話「エアポート捜査線」で婚約者・朝倉節子(田中真理)にプレゼントした指輪に言及していた。

Gメン75 22話

本編では22話「警視庁殺人課」までは関屋の左指に指輪が確認できるシーンもあった。

それらを踏まえ、ノベルズ1巻を読んだ上で改めて33話「1月3日 関屋警部補・殉職」、1話「エアポート捜査線」を見直してみるとさらに深く作品を味わうことができる。

彼女の死以来、拳銃が火を噴く時、彼はその左手にお守りのようにその指輪を握りしめていた。そのことを知っていたGメンは誰もいない。
出典:小説 Gメン75 (ぶっくまんペップ出版刊/昭和51年6月10日第一刷発行)

1月3日 関屋警部補・殉職、その後・・・”親友対談/原田大二郎VS倉田保昭”「スタア」1976年5月号

関屋警部補としてGメンを降板してから4カ月後の対談企画。「スタア」1976年5月号で原田大二郎と倉田保昭両氏の対談が掲載された。久しぶりの再会だったようで、身の上話やGメン75撮影現場での思い出話も披露されていた。

主な話題は、

・撮影日数や天候
・ボス(丹波哲郎)の真似をしていた原田さんのあるコト
・シェンシェイと呼ばれていた小西通雄監督
・背広が似合う原田さんが抜けたことで安心して背広を着ていた倉田さん
Gメン75 24話「二人組警官ギャング」の撮影で使ったネズミの裏話
・Gメンでやりたかった関屋と草野の行き違いによるぶつかり合い
・香港で二人の映画を作ってみたい

関屋警部補(原田大二郎)と草野刑事(倉田保昭)のぶつかり合い。これは見てみたかった。

資料協力:関屋二郎さま
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