キイハンター 27話は、海外ロケ・沖縄シリーズ前編!村岡特別室長(仲谷昇)極秘指令・逃亡するテロリストを追いアメリカ占領下の沖縄へ飛べ!高度8,000メートルの旅客機ハイジャックと闘う黒木鉄也(丹波哲郎)たちキイハンター!
第27話 殺しの招待旅行 (共同調査:NWP夏目プロダクツ) |
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仮題 |
<前編>殺人計画招待旅行 <後編>太陽に帰った殺し屋(※準備稿シナリオ#27-28) |
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シリーズ名 | 沖縄シリーズ | |||||||||
放送 | 68.10.5 | |||||||||
脚本 | 池田雄一 | |||||||||
撮影 | 下村和夫(1975年度日本テレフィルム技術賞・受賞) | |||||||||
監督 | 村山新治 | |||||||||
役名(台本) |
大学助教授(川口浩) 宮城(〃) 山本(〃) 水木朋子(高須賀夫至子) 美夏(嘉手納清美) 大阪からの新郎<陳>(高英男) 〃<シーラ>(松岡きっこ) 玩具のセールスマン(今井健二) 推理作家(春日章良) フラワーデザイナー(大泉滉) 牧師(潮健児) 商社マン(大村文武) 高校経論 船員 木村 脇屋 サングラスの外人 少年 少年の母親 沖縄警察の刑事 チャーム化粧品のガイド 機長 整形外科医 回想の宮城 写真屋の親父 ビーチハウスの女の子 魚売りの老婆 農夫 タクシー運転手 |
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出演 | 黒木 | 啓子 | 島 | ユミ | 風間 | 村岡特別室長 | - | - | - | - |
主演 | 黒木鉄也以下全員 | |||||||||
ゲスト |
高須賀不至子(高須賀不二子) 高英男 松岡きっこ(アイフル大作戦・バーディ大作戦、バーディー大作戦/井口マリ) 今井健二(今井俊一、今井俊二) 春日章良(春日俊二・春日俊次) 大村文武 大泉滉 団巌 杉裕之 田畑孝 志麻ひろ子(島ひろ子) 植田灯孝 岡野耕作 片山滉 フランツ グルーバー(フランツ・グルーベル) 川口浩(キイハンター/吹雪一郎) |
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某国 | - | |||||||||
協力 | ノースウェスト航空(ノンクレジット) | |||||||||
ロケ地 |
大阪国際空港 那覇国際空港(現・那覇空港貨物ターミナル) 那覇 |
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備考 | 前編(大阪・機内・沖縄) 英語⇒字幕スーパー 撮影;1968年9月13日より約1週間 |
キイハンター 第27話 殺しの招待旅行 あらすじ(ストーリー)
東南アジアに巣食う国際テロ組織の一員・宮城が足を洗うため組織を裏切った。国際警察・村岡特別室長の指令を受けた黒木鉄也らは宮城を泳がせ、組織の全貌を掴むべく足取りを追って宮城と同じノースウェスト航空でアメリカ占領下の沖縄(琉球)へ飛ぶ。
村岡の情報では、国際テロ組織の殺し屋・宮城は銀座の病院で整形手術を受けたらしい。顔を変え国外へ脱出する宮城を探しだし国際テロ組織の秘密を聞き出すことが今回の任務だ。手がかりは一枚の女性の写真。写真の女性・水木朋子は宮城の恋人。
その旅客機には裏切り者に制裁を加えようとする組織の殺し屋も同乗していた。谷口ユミはスチュワーデスとしてすでに機内に潜入。姿を変えた宮城は誰か?そして組織の殺し屋は誰か?乗客に化けた黒木や風間洋介らも密かに機内の動向を探る。途中、大阪に立ち寄った旅客機には続々と新たな乗客が搭乗。空路、那覇へ向って離陸を開始した。
順調に飛行してるかに見えたその機内でついに殺し屋が出現。宮城を探そうと旅客機をハイジャックする。黒木たちは高度8000メートルの上空で絶体絶命の危機にさらされる。
キイハンター 第27話 殺しの招待旅行 解説・見どころ
- 沖縄シリーズ(前編)/アメリカ占領下・沖縄(琉球)ロケ
- 前編は東京-大阪、大阪-那覇、高度8,000メートルの機内でハイジャック発生
- 黒木ら全員が沖縄入り
27話原題「殺人計画招待旅行」
キイハンター初の海外ロケ(占領下の沖縄)。オープニングの一部、プールサイドでのシーンに変わり、クラシックなアメ車を乗りつけるキイハンターたちのシーンが取り入れられた。このシーンは今回の沖縄ロケで撮影されたもの。場所は百貨店(プラザハウス)。
「Gメン75」同様、シリーズ名は<沖縄シリーズ>(シナリオ、週刊TVガイド誌より)。当時、小学生だった私も機内シーンだけはなんとなく覚えている。おそらくシリーズ最古の記憶かと思う。前編は高度8000メートル上空での秘術を尽くした攻防戦、後編は、沖縄各地でのスリリングな大捜査網が見所。協力はクレジットされていないが、ノース・ウェスト航空。撮影は9月13日出発で現地滞在期間は一週間。69年3月まで放映継続が決定し、より一層のPR効果を狙おうとして企画された海外ロケ編。
まず前編。作品の大半が機内での密室サスペンス。組織から足を洗うべく顔を変えたテロリストは誰か?正体を見せたテロ組織の一味が何と機体をハイジャック!羽田-大阪-那覇の緊迫したフライトが手に汗握る一級サスペンスとなっている。沖縄での撮影は着陸後の那覇空港(現・那覇空港貨物ターミナル)、当時の那覇空港駐車場、那覇市内へ通じる道(332号線?)。
機内では組織の裏切り者・宮城を追う黒木鉄也らと組織の追手が描かれるが、密室の中でのミステリアスな展開が実に面白い。誰も宮城の正体がわからない。様々な経歴を持つ乗客の全てが怪しげな雰囲気。視聴者も宮城探しに気を取られている内にドラマはいつの間にかクライマックスへ。村岡特別室長が14話「贋札使いの墓標」以来久々に登場。クールでアダルトにキメた指令シーンで魅力を披露。
キイハンター 27話 当時の雑誌記事/初の海外ロケ/基地・沖縄の顔をバックに酷暑と子供ファンに悲鳴-初の海外ロケだより
キイハンターで初の海外ロケ(週刊TVガイド 1968年9月13日号)
※「キイハンター」で初の海外ロケと称して沖縄(アメリカ占領下)ロケを敢行するというニュース第一弾。沖縄ロケは新番組が登場するという番組改編期ならではの番組PR作戦とのことである。
記事によると出発は1968年9月13日。現地滞在は約1週間。放送は当初は11月第一週、二週が予定されていた。海外渡航歴未経験の千葉真一、谷隼人、大川栄子三人組は大喜び。さらに現地のコザ市、那覇市では受け入れ態勢に入った様子が告知されていた。
自分の知る限りでは、アメリカ占領下の沖縄でロケをした刑事・アクションドラマは、キイハンターの他は、ザ・ガードマン 66話「沖縄へ直行せよ」(1966年7月8日)、341話「ヌードの悪女華やかな私生活」(1971年10月22日)、343話「お色気喜劇 浮気結婚式」(同年11月5日)。
さらに邦画では「警視庁物語 全国縦断捜査」(1963年6月14日公開)などがある。
キイハンターの沖縄シリーズは2話連続の前後編。
以下は、沖縄シリーズ後編放送週(1968年10月18日号)に大々的に告知された「沖縄シリーズ」特集である。
日本の中の外地?沖縄/記事抜粋(1968年10月18日号)
和製アクション番組の決定版ともいえる『キイハンター』が、初めて海を越えるロケ撮影に出かけた。基地の町・オキナワを舞台に、物語の設定もグッと国際的。東南アジア一帯に根を張るテロ組織が相手とあって、出演者が汗みどろの熱演を示したのも、あながち南国のせいではなかった。
くもり空で、初秋の涼しさを感じさせる羽田だったが、那覇空港に着くと、ガラリと明るい南国の太陽がカッと照りつけ、暑いと唸らせた。すぐさま最初のロケ地・伊那城観光ホテルに向うバスの、右側通行なのが、感覚を戸惑わせた。人も風景も、日本本土の地方都市そのままなのに、パスポートを必要とし、ドルが通貨のここ沖縄は、外国なのだ。この奇妙なコントラストは、『キイハンター』にうってつけである。国際事件を扱うことの多い『キイハンター』が、初の海外ロケを企画し、グアム、タヒチ、香港などが候補に上ったが、結局、沖縄に落ち着いたのには、そのような理由もあったのだ。・・・(以下略)
那覇国際空港。「奇跡の1マイル」といわれる那覇のメインストリート、国際通り。附近に基地が集中したため、一夜のうちにネオンの巷となったコザ市。アメリカンムードの百貨店「プラザハウス」や、アメリカ人相手のホテルやプールなど。それらのあいだに、琉球舞踊のみられる沖縄料理の料亭「左馬」、これまでのロケでは舞台になっていない、見渡すかぎりのサトウキビ畑などをおりこみ、ラストは、古くから沖縄の漁港として世界的にその名を知られていた糸満の場面で終わるというふうに、バランスをとっている。・・・(以下略)
見知らぬ男を追って 沖縄シリーズその一/記事抜粋(1968年10月18日号)
沖縄を舞台に今夜と来週の前後編で放送する。普通沖縄ロケというと古い沖縄情緒を求めるものだが、スマートさを身上とするキイハンターは、西洋臭のふんぷんとした沖縄をカメラに収めている。
後編のページでは丹波哲郎御大や村山新治監督のコメントも要約して紹介しておきたい。