ザ・サスペンス「殺意の肖像」Gメン75の若林豪主演2時間ドラマ!長野県黒谷町シリーズをイメージさせるローカル刑事ドラマ
殺意の肖像|ザ・サスペンス・Gメン75デモンストレーション(2) | |
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新聞タイトル | 殺意の肖像・ウーマンポリスが週刊誌の激写で脱いだ!そして殺された… |
原作 | 「殺意の肖像」帽子:夏堀正元<講談社刊> |
放送枠 | ザ・サスペンス(土曜夜9時) |
放送 | 1982.9.18 |
脚本 | 高久進 |
撮影 | 原秀夫 |
監督 | 山内柏 |
プロデューサー | 近藤照男、樋口祐三(TBS) |
テーマ曲 | 「出会い’35」ビクターレコード(作曲:ピエールポルト) |
音楽 | 義野裕明 |
出演 |
若林豪<矢吹敏彦警部補>、 芦屋雁之助<アニ=大羽吉郎>、 松尾嘉代<矢吹ちさと>、 ハナ肇<署長>、 川地民夫<室岡警部>、 児島美ゆき<原口弘美>、 好井ひとみ<豊村弓子>、 杉江廣太郎<次席>、 内田勝正<佐島義夫>、 出光元<野毛>、 丹古母鬼馬二<霜川保>、 小鹿番、三鈴栄子、中田譲治、里木左甫良、狭間鉄、岡幸恵、谷本小代子、三宅悦子、五野上力、伊藤慶子、八百原寿子、北村大造、真田五郎、斉藤司、浦上嘉久、浜本健志、大野和浩、五十嵐恵子、勝畑典子 |
登場人物 (台本) |
矢吹敏彦警部補(若林豪)(32才) 矢吹ちさと(松尾嘉代)(26才) アニ:大羽吉郎(芦屋雁之助) 室岡警部(川地民夫)(40才) 署長(ハナ肇) 次席(杉江廣太郎) 野毛(出光元) 金井刑事 豊村弓子(※手書き:好井ひとみ)(20才) 豊村貞介(小鹿番)(45才) 原口弘美(※手書き:児島美ゆき)(24才) ミヤ子(※:岡幸恵)(17才) 佐藤義夫(※:内田勝正)(37才) 大羽勇治(当時50才) 大羽民子(当時18才) 霜川保(※:丹古母鬼馬二)(38才) 土屋(30才)カメラマン 居酒屋の主人 居酒屋の妻 刑事A 駐在所の巡査 看守(※:五野上力) パトカーの警官A パトカーの警官B 売店の小母さん 飲み屋の客 カメラマンの助手 矢吹の長男 矢吹の長女 矢吹の次女 刑事たち その他 |
ロケ地 | 五日市、山梨方面、横浜 |
1975年5月24日から1982年4月3日までスペシャル含めて全355話、7年に渡って放送された「Gメン75」。当時、TBSの方針による2時間ドラマの企画で退陣を余儀なくされた「Gメン75」だったが、同年10月に時間帯を変えて再スタートを切ることが既に決定していた。
「Gメン82(当時はタイトル未定)」が始まるまでの間、TBSの2時間ドラマ枠「ザ・サスペンス」で、「Gメン75」スタッフによるGメンタッチのサスペンスドラマが3本企画された。音楽、キャスト、ストーリーはまさに「Gメン75」。今回第二弾も首を長くして再会を待つGメンファンへのプレゼントとも思える作風だった。
1980年代、90年代前半くらいまでは地上波でも時折再放送されたが、「殺意の肖像」もその後はCS放送「ファミリー劇場」で1度お目見えしたのみ。2020年時点では70年代、80年代のドラマの再放送も少なくなり鑑賞する機会が減ったのは誠に残念。
頼みのCS・2時間ドラマ枠でも「〇〇推理シリーズ」のようなシリーズものばかり繰り返し放送されているが、単発ものの作品も積極的に再放送していただきたいものだ。ベストフィールド社あたりでソフト化されることにも期待したい。
ザ・サスペンス「殺意の肖像」 あらすじ
山深い村の警察署に勤務する矢吹敏彦警部補。32歳。妻子あり。
矢吹が捜査課課長に抜擢されたある日、部下の巡査・豊村弓子をめぐる一騒動が起こった。何と週刊誌のグラビアで脱いだというのだ。さっそく矢吹は署長に呼びつけられる。せまい村ゆえ騒動は署内だけではなく一気に村全体に広まってしまった。
そんな時、弓子の他殺死体が発見された。事件の手がかりから山でひとり暮らしをする<アニ>と呼ばれる帽子好きな男が捜査線上に浮ぶ。
山梨県警本部から来た室岡警部は、アニこと大羽吉郎が犯人と決めつけるが、矢吹は純粋な心を持つアニが犯人とはどうしても思えない。そして第2の殺人事件が発生したことから室岡はアニの逮捕にふみきる。
ザ・サスペンス「殺意の肖像」 ポイント
- 立花警部になってしまうクライマックス近くの矢吹警部補
- 黒谷町シリーズのムードいっぱい
- 手斧を持った凶悪犯・霜川保
- Gメン75タッチの展開、設定、ロケ地
- Gメン75タッチの劇伴
- 劇伴の一部は「Gメン82」へ継承
- Gメン75でおなじみのキャスト陣
- Gメン75でおなじみのスタッフ陣
「Gメン75」の制作スタッフが贈る新Gメン再開までのデモンストレーション作品・第二弾!若林豪・主役作品。
当時の「週刊TVガイド」誌では、明確にデモンストレーションと記載されてある。
舞台は山梨県の某山村という設定。ローカルな警察日記といった雰囲気、原作は、夏堀正元・著の「殺意の肖像」帽子<講談社刊>。全体的に長野県黒谷町シリーズをイメージしたような作風に仕上がっている。
主人公の矢吹敏彦警部補(若林豪)は立花警部のような鋭いリーダーシップを発揮する上司ではなく、どちらかというとユーモラスで情に厚い田舎の刑事だ。矢吹とアニ(芦屋雁之助)の心の交流も見どころ。
ドラマ展開のタッチ、カメラワークは「柿の木坂の首吊り殺人事件」同様、まさに「Gメン75」風味。音楽も「Gメン75」の劇伴の裏返し的な曲調で、曲のいくつかは「Gメン82」へと受け継がれている。
矢吹警部補(若林豪)が富士野署捜査課課長に抜擢されたところへ部下の巡査・豊村弓子(好井ひとみ)のスキャンダル発生!なんと週刊誌のグラビアでヌードになって村は大騒ぎ。これが次々と起きる事件の発端となる。
真夏の陽光や鮮やかな緑の山々、渓谷がまぶしいくらいに綺麗に撮影されているGメンテイスト抜群のカメラワーク。やはりフィルム撮影のドラマはいいなと実感する。
なお、「殺意の肖像」の続編が検討されているということを当時スタッフの方からお聞きしたが、実現には至らなかった。
「殺意の肖像」ここがGメン75!2つのお遊びポイント
ここがGメン75 | |
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(1) | ソフト帽 |
(2) | 凶悪犯・霜川保 |
(1)ソフト帽をかぶる矢吹警部補
「殺意の肖像」の中に感じられる「Gメン75」はキャスト、スタッフだけではなくこんな遊びにもある。矢吹警部補(若林豪)がソフト帽を試してみるシーン。父親が被っていた帽子という設定はボス・黒木警視正(丹波哲郎)を意識してるかのようだ。
そして・・・
(2)手斧を持った凶悪犯・霜川保(38才)
手斧を持った凶悪犯・霜川保(丹古母鬼馬二)登場!
ドラマの本質ではないが「Gメン75・黒谷町シリーズ」を知るファンなら思わず見入ってしまうシーンだ。
狂暴性、武器、風貌、喋り!ほとんど「望月源治(蟹江敬三)」。しかも長野県から逃亡してくるという設定がいい。
さらに、矢吹警部補が勤務する富士野署の建物はなんとGメン75の「長野県・黒谷暑」というオチも。Gメンファンなら一度は見ておいて損なし。
ザ・サスペンス「殺意の肖像」 当時の記事
プロデューサーは「Gメン75」の生みの親、近藤照男、脚本・高久進、主演が若林豪とこれはまさしく”Gメンファミリー”10月17日から再登場する「Gメン82」のいわばデモンストレーション。出典:週刊TVガイド