ザ・サスペンス「柿ノ木坂の首吊り殺人事件」Gメン75タッチの丹波哲郎主演作品!近藤照男プロダクションオリジナルの刑事ドラマ
柿の木坂の首吊り殺人事件|ザ・サスペンス・Gメン75デモンストレーション(1) | |
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仮題 | 柿ノ木坂の首吊り殺人事件 |
原作 | オリジナル |
放送枠 | ザ・サスペンス(土曜夜9時) |
放送 | 1982.7.10 |
脚本 | 高久進(池田和雄、井口真吾) |
撮影 | 下村和夫(1975年度日本テレフィルム技術賞・受賞) |
監督 | 下村和夫 |
プロデューサー | 近藤照男、樋口祐三(TBS) |
テーマ曲 | 「海辺のピアノ」ビクターレコード(作曲:ピエールポルト) |
音楽 | 義野裕明 |
出演 |
丹波哲郎<速水刑事官> 草笛光子<速水英子> 藤岡琢也<島田部長刑事>(太陽にほえろ!/鮫島勘五郎、いろはの”い”/鬼頭隆一、熱中時代刑事編/潮田衛太郎) 小池朝雄<落合捜査主任>(大都会PARTII/吉岡捜査課長・城西署) 佐藤佑介<速水竜男> 北詰友樹<島田邦彦> 吉岡ひとみ 榊ひろみ 江角英(江角英明)(Gメン75 黒谷署・大町刑事課長) 堀礼文 早川雄三(特別機動捜査隊/松木部長刑事) 原田樹世土 松林竜夫 小寺大介 花巻五郎 山浦栄 五野上力(斎藤力、斉藤力、五之上力、五ノ上力) 長谷川広 原山美登里 佐々木修平(元倉田保昭アクションクラブ講師) 大蔵晶 近藤哲也 小林徹也 山本啓二 夏倉健二 寺田農<影山> |
登場人物 (台本) |
速水刑事官(55才)<丹波哲郎>※他は俳優名未記入 速水英子(43才) 速水竜男 島田部長刑事(50才) 島田千代(40才) 島田邦彦 署長 次席 落合捜査主任(45才) 影山(30才) 古川あけみ(23才) 古川道太(17才) 酒巻(25才) 鑑識主任 刑事A 刑事B パトロール警官A パトロール警官B 婦人警官 執刀医 交換手の声 屋台の親父 非行少年達 非行少女達 暴走族達 |
1975年5月24日から1982年4月3日までスペシャル含めて全355話、7年に渡って放送された「Gメン75」。当時、TBSの方針による2時間ドラマの企画で退陣を余儀なくされた「Gメン75」だったが、同年10月に時間帯を変えて再スタートを切ることが既に決まっていた。
新しいGメンが始まるまでの間、TBSの2時間ドラマ枠「ザ・サスペンス」で、「Gメン75」スタッフによるGメンタッチのサスペンスドラマが3本企画された。音楽、キャスト、ストーリーはまさに「Gメン75」。首を長くして再会を待つGメンファンへのプレゼントとも思える作風だった。
1980年代、90年代前半くらいまでは地上波でも時折再放送されたが、その後は「殺意の肖像」「女囚第3監房の脱走」とともに、CS放送「ファミリー劇場」で1度お目見えしたのみ。2020年時点では70年代、80年代のドラマの再放送も少なくなり鑑賞する機会が減ったのは誠に残念。
頼みのCS・2時間ドラマ枠でも「〇〇探偵シリーズ」のようなシリーズものばかり繰り返し放送されているが、単発ものの作品も積極的に再放送していただきたいものだ。ベストフィールド社あたりでソフト化されることにも期待したい。
ザ・サスペンス「柿ノ木坂の首吊り殺人事件」 あらすじ
警視庁山手署・速水刑事官(丹波哲郎)たち捜査員チームは、シャブの密売人を検挙した。
ところが速水の息子・竜男と速水の同僚である島田部長刑事の息子・邦彦は柿ノ木坂にある洋館で覚せい剤を打っていた。
ある夜、その館で邦彦の首吊り死体が発見された。死因は覚せい剤によるショック死だった。しかも自殺に見せかけた他殺の疑いが濃厚であることから速水は、極秘捜査を開始する。
その時、捜査本部に一本の密告電話がかかって来た。現場にあった注射器の指紋を調べろという。注射器から検出された指紋を確認した速水は、指紋の主が自分の息子・竜男だけという事実に愕然とする。しかし、竜夫は自分は覚せい剤などやっていないと言い張る。
ザ・サスペンス「柿の木坂の首吊り殺人事件」 ポイント
- 丹波哲郎御大の苦悩する刑事
- 丹波哲郎御大のカラテ!蹴り!炸裂するボディアクション
- Gメン75タッチの展開、設定、ロケ地
- Gメン75タッチの劇伴
- Gメン75でおなじみのキャスト陣
- Gメン75でおなじみのスタッフ陣
本編及びシナリオの表記は「柿ノ木坂の首吊り殺人事件」だが、当時のTV番組誌には「柿の木坂の首吊り殺人事件」と記されていた。
「Gメン75」の制作スタッフが贈る新Gメン再開までのデモンストレーション作品・第一弾!当時、毎年どこかの警察署で一日署長を勤めていた丹波哲郎氏の主役作品。
Gメン・黒木警視正の黒スーツにソフト帽姿ではなく、今回は淡い色のスーツで登場。Gメンではレギュラーの私生活を前面に押し出したストーリーは極力省かれていたが、この作品を見ると黒木ボスの私生活は、こんな感じかもしれないと感じる。
しかし今回の役・速水刑事官は黒木ボスのような冷徹な判断を下すボスではなく、自分の息子が犯した罪に苦悩する普通の刑事である。
ドラマ展開のタッチ、カメラワークは「Gメン75」に似ているので、本放送の時は顔がほころびっぱなしだった。特に音楽は「Gメン75」劇伴の裏返し的な曲調でさらににんまり。フィルム撮影ならではの陰と陽のメリハリのある映像も健在だ。
アクションはほとんどないが廃墟でのクライマックスで丹波御大自らのカラテ、蹴りが炸裂するシーンがある。あれだけ大暴れするボスは「バーディー大作戦」最終回依頼の豪快さ。Gメン75 114話「極秘捜査 赤ちゃん誘拐!」以上のボスのパワフルな鉄拳シーンを拝むだけでも価値アリ。
さらにドラマにかかわる他のキャストも小池朝雄氏、寺田農氏、吉岡ひとみ氏をはじめおなじみの方ばかり。荒れる中学生(松林竜夫)も今回は丹波ボスのパンチ連打の洗礼を受ける。
そして事件の黒幕は・・・。ジワジワと黒幕を追い詰める迫力ある<刑事ドラマ>である。
「Gメン75」の番外エピソードとしても十分使える内容なので、ザ・サスペンス枠でのスペシャルもありか?と期待感を膨らませた当時が蘇ってくる。
ザ・サスペンス「柿の木坂の首吊り殺人事件」 当時の記事
丹波は”Gメン”以来の刑事役。ただGメンの時のようなカッコイイ役ではなく、自分の足元(家庭)から火がつき、あわてるごく普通の刑事である。制作はGメンの時と同じスタッフ。タッチも似てはいるが、派手なアクションもなくジワジワと犯人を追いつめる迫力ある刑事ドラマに仕上がっている。(以下略)
出典:週刊TVガイド