プロフェッショナル・キイハンター、次の赤いシグナルは・・・


           沖縄シリーズ−海外ロケ(アメリカ占領下の沖縄)編−
           No.27 
殺しの招待旅行 <前編>
           No.28 
太陽に帰った殺し屋 <後編>68年10月5日、12日放映)
 

                脚本・池田雄一 撮影・下村和夫 監督・村山新治

 
               出演者・黒木、啓子、風間、島、ユミ / 村岡室長 / 薫
                
主役・全員(No.28は全員+薫)
                ゲスト・川口浩
(*注)、野添ひとみ、フランツグルーバー、新垣梨江子、
                松岡きっこ、高英男、嘉手納清美、今井健二、大泉滉、大村文武、 
                高須賀不至子ほか11名
            
                

制作エピソード



 ☆27話原題「殺人計画招待旅行
 番組初の海外ロケ(占領下の沖縄)。オープニングの一部、プールサイドでの
 シーンに変わり、クラシックなアメ車を乗りつけるキイハンターたちのシーンが
 取り入れられた。このシーンは今回の沖縄ロケで撮影されたもの。
 場所は百貨店(プラザハウス)。
 「Gメン75」同様、シリーズ名は<沖縄シリーズ>(週刊TVガイド誌より)。
 当時、小学2年生だった私も左の機内シーンはなんとなく覚えています。
 (写真左右は沖縄シリーズ番宣写真より)
 前編は高度8000メートル上空での秘術を尽くした攻防戦、後編は、沖縄各地
 でのスリリングな大捜査網が見所。協力はクレジットされていないが、ノース・
 ウェスト航空。撮影は9月13日出発で現地滞在期間は一週間。69年3月まで
 放映継続が決定し、より一層のPR効果を狙おうとして企画された海外ロケ編。

 まず前編。海外ロケとはいえ、作品の大半が機内での密室サスペンス。
 組織から足を洗うべく顔を変えたテロリストは誰か?正体を見せたテロ組織の
 一味が何と機体をハイジャック!羽田−大阪−那覇の緊迫したフライトが手に
 汗握る一級サスペンスとなっている。
 機内では組織の裏切り者・宮城を追う黒木らと組織の追手が描かれるが、密室
 の中でのミステリアスな展開が実に面白い。誰も宮城の正体がわからない。
 様々な経歴を持つ乗客の全てが怪しげな雰囲気。視聴者も宮城探しに気を
 取られている内にドラマはいつの間にかクライマックスへ・・・。
 14話以来、村岡室長が久々に登場。クールでアダルトな魅力を披露している。

 次に後編。舞台の大半が沖縄ロケである。エキゾチックな風土とアメリカ占領下
 を印象づける町並み、炎天下でのサトウキビ畑のシーンをふんだんに織り交ぜ
 ながらドラマは進行する。琉球カラテの使い手と1対1の死闘を展開する風間
 くんこと千葉真一氏の格闘アクションも見物。
 敵の手に落ちたキイハンターたちに迫る恐怖、助っ人として急遽沖縄入りした
 薫のキイハンター救出作戦等、緊迫したストーリーが絶妙。
 そして『Gメン'75』ヨーロッパロケシリーズ4部作を思わせるようなクライマックス。
 番組改編期・期首特番にふさわしい娯楽大作に仕上がっている。

 −ロケ裏話−
 
週刊TVガイド誌の特集記事<基地・沖縄の顔をバックに−酷暑と子供ファンに
 −悲鳴 キイハンター初の海外ロケ便り>より
 〜見開き4ページモノクロ記事での特集〜
 
日本の中の外地?沖縄
 
和製アクション番組の決定版ともいえる『キイハンター』が、初めて海を越える
 ロケ撮影に出かけた。基地の町・オキナワを舞台に、物語の設定もグッと国際的。
 東南アジア一帯に根を張るテロ組織が相手とあって、出演者が汗みどろの熱演
 を示したのも、あながち南国のせいではなかった。
 くもり空で、初秋の涼しさを感じさせる羽田だったが、那覇空港に着くと、ガラリと
 明るい南国の太陽がカッと照りつけ、暑いと唸らせた。
 すぐさま最初のロケ地・伊那城観光ホテルに向うバスの、右側通行なのが、
 感覚を戸惑わせた。人も風景も、日本本土の地方都市そのままなのに、パス
 ポートを必要とし、ドルが通貨のここ沖縄は、外国なのだ。
 この奇妙なコントラストは、『キイハンター』にうってつけである。国際事件を扱う
 ことの多い『キイハンター』が、初の海外ロケを企画し、グアム、タヒチ、香港など
 が候補に上ったが、結局、沖縄に落ち着いたのには、そのような理由もあった
 のだ。・・・(以下略)

 那覇国際空港。「奇跡の1マイル」といわれる那覇のメインストリート、国際通り。
 附近に基地が集中したため、一夜のうちにネオンの巷となったコザ市。アメリカン
 ムードの百貨店「プラザハウス」や、アメリカ人相手のホテルやプールなど。
 それらのあいだに、琉球舞踊のみられる沖縄料理の料亭「左馬」、これまでの
 ロケでは舞台になっていない、見渡すかぎりのサトウキビ畑などをおりこみ、
 ラストは、古くから沖縄の漁港として世界的にその名を知られていた糸満の場面
 で終わるというふうに、バランスをとっている。・・・(以下略)


 
(以下、週刊TVガイド誌より要約
 『キイハンター』は当時の沖縄でも放映されていて、視聴率は49.3%もあった
 そうである。ロケはどこも黒山の人だかりだったとのこと。
 協力:伊波城観光ホテル、沖縄ホテル、料亭<左馬>
 ロケ地・那覇空港、国際通り、コザ市、糸満市など
 
 嘉手納清美さんの「花風(はなふう)」と呼ばれる琉球舞踊シーンも堪能できる。
 まだレギュラーではなく国際テロリスト役だった川口浩氏があまりの
 暑さの為にダウンするという一幕もあった。
 
 ロケは地元の商店や見物人のエキストラ協力によって順調に進んだ。
 昼間の那覇国際通りは渋滞が激しく、撮影は困難。朝6時から撮影することに
 なったが、事情を話すと、向こう三軒両隣が店を開けて協力してくれたそうだ。
 しかし、米国占領下という特殊事情もあったせいか、基地の軍用機が写るアング
 ルでの撮影は許されず、一部の海岸も規制の対象だったとのこと。

 劇中に「Gメン」同様、ハブを使ったシーンがあったが、依頼したハブ師が
 現れず仕方なくハブの血清研究所にカメラを持ちこみ、撮影したという
 苦労話もあったとのこと。ロケ隊は、14名のスタッフで沖縄入り。
 前編はスリリングな展開、後編は糸満市さとうきび畑等でのアクションが見物。
 
 (週刊TVガイド誌『キイハンター』作品紹介記事より)
 日見知らぬ男を追って 沖縄シリーズその一
 沖縄を舞台に今夜と来週の前後編で放送する。
 普通沖縄ロケというと古い沖縄情緒を求めるものだが、スマートさを身上とする
 キイハンターは、西洋臭のふんぷんとした沖縄をカメラに収めている。


 
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 ★丹波哲郎さんのコメント抜粋・週間TVガイド誌特集より
 最大の悩みは、ものすごい数のファンのこどもたち。
 コザのロケでは整理の警官が出る始末で、一行の宿舎・沖縄ホテルにも
 押しかけられ、父兄からの依頼で丹波哲郎氏が子供達を説得する一幕も
 あったそうだ。
 「これじゃ、まるでグループサウンズだよ。オレは、真底、みてくれるのが
 こどもだけでないことを祈るよ」
 
 ★村山新治監督のコメント抜粋・週間TVガイド誌特集より
 「日本と変わらぬ姿の沖縄に驚いた。その沖縄にドル、右側通行、復帰運動が
 ある現実がふしぎに思えるくらいだ。今井正監督が”ひめゆりの塔”をつくった
 ときは、助監督をつとめていたので、沖縄へ着くと早速お参りした。まさに感
 無量で、とてもここで撮影する気になれなかった。
 今回のロケでは、沖縄の風土の面白さを出そうとしたので、多少、実際の沖縄
 よりエキゾチックになるかもしれない。スキッと抜けたきれいな絵がとれたのは
 さすが南国沖縄だ」
 
 ★週間TVガイド誌特集よりランダムに抜粋
 このロケで悩まされたのは、太陽の熱さだ。気温は日本より低いそうだが、太陽
 の明るさと熱さはやはり南国。太陽をさえぎるものはなにひとつないサトウキビ
 畑で撮影をしたとき、スタッフ全員、村山監督まで上半身ハダカになったが、
 カッコヨサが売りもののキイハンターたちと殺し屋はそうはいかず、おまけにここ
 が、最も激しいアクション場面ときているので、全員背広までグッショリ汗になって
 川口浩が日射病で倒れ、野添ひとみを大いに心配させた。
 川口、野添夫妻の仲のよさも、大いにスタッフを悩ませたものだが、暇をみて
 首里や中城の史跡を見物。野添のかわらぬ童顔に、沖縄の人は「まるで新婚
 旅行のふたりみたい」とささやいていた。そのふたりはまた、クラブ琉球ホール
 で、ダイナミックにゴーゴーを踊って「ほんとにママさんかしら」と、ホステスたち
 を驚かしていた。

 ロケはどこへ行っても、黒山の見物にとりかこまれた。そのうえ、見物からはナマ
 の反応がかえってくる。千葉が得意のアクション場面で、あざやかなはなれ業を
 見せると、ドッと拍手がわく。出演者のひとつひとつの演技に、ささやきがひろが
 ったり、笑い声が起こったり、飛び出してきたおばあさんが「テレビでみるより
 ずっとかわいいわよ」と大川栄子の肩をたたいたり。素朴な声援が、いっそう
 みんなをはりきらせていた。
 
 伊波城観光ホテルは、金武湾に臨む石川市を一望のもとに見下ろす景色のいい
 ところ。このプールでエキストラに出たリリーさんは、新垣梨江子ともいう。
 混血のミス沖縄で、マイアミビーチでのミス・ユニバースのコンテストにも出演した
 そうだ。「ラブシーンだともっといいんだけど」と冗談を言いながら、監督から言わ
 れたように、ビキニの腰をふってグラマー美人の役をこなしていた。

 
 週間TVガイド誌の特集記事(1968年モノクロ見開き4ページで掲載)

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