No.53 ニセ追出刑事 質屋猫ババ事件 (脚本)高久進(撮影)下村和夫(監督)鷹森立一 (出演)田坂都、小野川公三郎、曽根晴美、藤山浩二、浜かおる、牧れいほか ☆行内刑事の恋人・加納弘子巡査、最後の出演。 今回は、Gメン75の制作黄金トリオが放つ傑作。タイトルだけを見るとコミカル編かと 思われるが、本編はシリアス。 全編に流れるフォークソングの挿入歌の使い方が上手い。 パントマイムの夢を追う若者・健とその恋人・ユカとのふれあいを、効果的に 盛り上げている。 弘子巡査が過去補導したユカと再会するが、過去の事情を知らない健に悟られたく ないユカの気持ちを察して、「昔、サイフをなくして交番に来たことがあったのよ。」と さりげなく健に語るシーンもいい! バーディーの中では、最も哀しく泣ける作品である。 クライマックス。捨て身の追出刑事を盛り立てるのは、「追想」の原曲! この作品は、Gメン75No.234「女たちの拳銃泥棒」の元となった作品である。 プロットは同じだが、ラストの処理が異なる。 どちらかというと、私はバーディー版の方が好きである。 ハードボイルドな展開でも希望を暗示するような印象的なラストショットは見事だった。 作風は、もうキイハンターのイメージではなく、2週間後にスタートするGメン75を完全に 意識したものと思われる。 10数年前、テレビ大阪で再放送されたものはアイキャッチ付近をカットして作品を 傷つけてしまっているため残念で仕方ない。 CSなどで、もし再放送されたら、もう一度感動に酔いしれてみたいものである。 −あらすじ− ユカの誘いで、ぼったくりバーに入った吾郎と三平は身包みをはがされる。 黒幕は、明美、犬飼、草野の三人組。 彼らはユカを使い、追出刑事の警察手帳を盗んだ。 そして、追出になりすまし質屋などを荒らしまわる。 ユカは元スリだったが、健と知り合ったことで足を洗い、大都会でけなげに生きていた。 健はチャップリンに憧れパントマイムの勉強にはげむ青年。 しかし、ユカは昔の仲間である明美にそそのかされ再びスリの道に逆戻りしていた。 パントマイムの本場パリへ健を行かせてやりたい・・。しかし加納弘子巡査や 健の気持ちに接し、ユカは昔の仲間との決別を誓う。 そんなある日、健の帰りを待つ彼女の元に悲報が入った。 健が死体となって発見された。ユカの自供で追い詰められた三人組の仕業だ。 追出は自分の失態をパトカーの拡声器で公表。犯行を重ねる三人組がニセ刑事だ と市民に訴え、クビ覚悟で情報を得ようとする! 追出のデカ魂に打たれた桜田は、全員でサポートを始める。 |
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