KEY HUNTER
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PROFESSIONAL KEY−HUNTER、RED SIGNALS


■オープニングナレーション・・・

No.1「裏切りのブルース」〜No.60「パラシュート殺人部隊」
この部屋のグループは5人・・・
彼らの愛するものは自由、求めるものは平和
彼らの活躍がここに始まる
彼らの行くところ不可能の文字無く
彼らを遮る国境も無い。
彼らは、こう呼ばれる・・・・
No.61「荒野の殺人紙幣」〜No.104「足のある幽霊部隊」
彼らこそ現代モーレツな仲間!
彼らの愛するものは自由、求めるものは平和
彼らの活躍がここに始まる
彼らの行くところ不可能の文字無く
彼らを遮る国境も無い。
彼らは、こう呼ばれた・・・・


■国際警察とは・・・

キイハンターの設定を語る前に、まずキイハンターに任務を与えた【国際警察】とは何かを明らかにしてみたい。





※キイハンター第1話シナリオ(準備稿/仮題「エレナよ眠れ」

★風間洋介は当初杉浦直樹氏が予定されていた
風間洋介役は杉浦直樹氏が演じる予定だった。



★村岡の所属する組織は当初「外事局・特別室」(日本の国益を守る任務をおびた部署)
村岡が所属する組織は、当初、国際警察ではなく「外事局」(架空の組織)
官庁街に極秘のオフィスを持ち、日本の国益を守る政府直属の部署。警察が手を出せない複雑な事件を極秘裏に
解決する任務を帯びた組織という設定。

イメージしにくいことから、国際警察・特別室(UNIPOL JAPAN/UNIVERSAL POLICE)に変更したものと思われる。
国際警察自体、実在する「国際刑事警察機構(ICPO/INTERPOL)と思われがちだが、キイハンターでは別の架空の
団体組織。予告編では、国際警察のことをインターポール特別室、シークレットインターポール、国際秘密警察・・などと
称することもあった。スペインやハワイなどにも支局があり・・と作品を見て突き詰めるとキリがない架空の団体である(笑)

要は、世界警察。世界各国に捜査網を持った警察機構で国と国が絡む事件を主に追うという組織設定と推測。




※TBSテレビニュース(企画書に基づく番組設定、PR)


■キイハンターとは・・・
簡単に言えば、国際警察の「特別室」とつながるプロフェッショナルな捜査グループ
キイハンターは村岡室長ら特別室のメンバーしか知りえない秘密捜査集団である。

「キイハンター」とは
キイとは、シークレット。秘密のハンター。つまり公の官憲が扱えない事件を、その痕跡すら残さずに解決する事件の
密猟者(シークレット・エージェント)たちという意味である。
週間TVガイド(68年10月発売)によると、「キイハンター」というタイトル以前の企画段階では、
非情のライセンス><プロフェッショナル>といった仮題が上がっていた。
(第一話は横浜市中区日本大通11にある『放送ライブラリー』で誰でも視聴できます。)http://www.bpcj.or.jp/

キイハンター第1話と企画書に基づくTBSテレビニュースによると、キイハンターはもともと警察が組織したグループではなく
元同僚・黒木のプロ級の捜査能力を惜しんだ国際警察特別室長・村岡が極秘裏に事件を解決するため黒木の力を借りようとした
ことがきっかけで関わることになったグループ。

当初メンバーは、黒木、啓子、島、ユミ、風間の5人。キイハンターと呼ばれることもなく自ら名乗るほどでもないというセリフも
あった名もなき仲間たちだった。

※シナリオ第1話、第2話プロローグより
=============================================
この大都会にはモダンなビルの中に奇妙な部屋がある。
この部屋には不思議な人々が集まる。

黒木鉄也、風間洋介、津川啓子、島龍彦、谷口ユミ

彼らは企業組織の中に安住できなかった不満を爆発させる
ことに生き甲斐を感じる者たちなのだ。
彼らはそれぞれの特殊な技能を生かして命を賭けて
犯罪に挑み悪と戦うことを誇りとしているプロフェッショナル
のグループである。
だが、彼らを難事件解決に駆り立てるものは単に富や
栄光だけではない。
彼らの技能は世界の何処ででも通用する。
彼らの前に国境はない。
=============================================

黒木鉄也(42歳):元国際警察の諜報部員。ヨーロッパに派遣されていたとき敵の女スパイと恋に落ちてクビ。No.34「墓を掘る殺し屋たち
津川啓子(29歳):元フランス情報局の諜報部員。スイス政府の依頼で関わった事件がきっかけで黒木らと知り合う。
島 竜彦(25歳):求職中のカーマニア(カー狂)な若者。
谷口ユミ(20歳→セリフでは18歳):黒木が住むマンションの大家の娘。記憶力に富み自己主張が強いが憎めないかわいさを兼ね備えている。
風間洋介(38歳):元毎朝新聞社会部の記者。会社からはじき出されたフリーの記者。(第2話シナリオ)



Gメン75が警視庁から独立し、選ばれた精鋭で組織されたスペシャリスト捜査グループなら
キイハンターは
社会からはじき出されたが特異技能を持つスペシャリスト一般市民グループ
それを活用するのが村岡特別室長ら国際警察特別室。


Gメン75の作風が、権力をバックにした精鋭らが挑んでも解決できない問題が社会にはあると訴えるなら
キイハンターの作風は、社会からつまはじきにされた人間でも個性や特技で社会の悪を退治することもできるといったスタンス。






両作品改めて見直してみると、社会に生きる人間模様が浮き彫りにされ実に興味深い。

キイハンターは当初、警察でもなく私立探偵でもなく、いつしか黒木と知り合い集まった仲間たち。彼らは時には競馬や
事件屋っぽくかせいだ資金で家賃を工面する生活をしつつも、人生を謳歌する集団だったのである。
国際警察特別室と協力体制が深くなるにつけ、警察の外部団体といったカラーになっていった。

No.60「パラシュート殺人部隊」で、FBI(アメリカ連邦捜査局)より吹雪一郎が加わり6人となる。
吹雪一郎は黒木がキイハンター1周年を機に戦力増強を名目に、FBIから引き抜いた逸材。


■プロット・・・
都筑道夫、生島治郎、海渡英祐、河野典生などの推理作家、ハードボイルド作家が担当。
原作ものでない作品に作家がオリジナルプロットを提供するという手法は当時のTVドラマとしては斬新で
それを元に脚本家、監督が映像化していった。

■放送回数・・・
当初、26回の予定だった。丹波氏も半年間は全ての出演を断って、この作品一本にかけるという意気込みだったらしい。

■番組の狙い・・・
政治、経済、科学、軍事などのあらゆる分野で非合法的な活動が行なわれている当時の世相を背景に、架空の警察機構
を設定。大都会を舞台に様々な陰謀や犯罪に挑戦する秘密捜査官の活躍を通して現実の憂さを吹き飛ばそうといった
清涼剤的な要素を打ち出したかったようである。
センチメンタリズムやロマンチシズムをうまく取り入れたハードボイルドタッチのドラマの決定版を目指していた。
だが、事件や仕掛けが主人公といったドラマにすることはなく、出演者に人間的な個性を与える事によって、
血の通ったハードボイルドを表現しようとしたようである。
この姿勢は、後の「Gメン75」でも貫かれる基本姿勢となった。

          参考資料:TBSテレビ番組宣伝課発行<テレビニュース>

■主題曲・・・
「非情のライセンス」作詞・佐藤純弥、作曲・菊池俊輔、唄・野際陽子、テイチクレコードSN-647
・・・当初は、丹波哲郎氏、野際陽子さんのデュエットで企画されていた。
また、千葉真一氏ソロ版のものもあったが、番組では採用されなかった。


『キイハンター』の原点・・・・スパイキャッチャーJ3

そもそもこの番組がなかったら「アイフル大作戦」も「バーディ大作戦」も「Gメン75」も世に出ることはなかったかもしれない。
いわゆる土曜日夜のTBS東映
ハードボイルドアクションシリーズの元祖と言える。
厳密に言えば、1965年の「
スパイキャッチャーJ3」、1967年4月の「刑事さん」、同年10月の「一匹狼」も近藤照男氏プロ
デュースであることから関連作品とも言える。何がしか影響を与えているに違いないが、「J3」を除き未見の為、多くは語れ
ない。今後の再放送に期待したいところだ。
尚、J3は東映ビデオから発売されているDVD「
東映特撮ヒーローTHE MOVIE Vol1」で「SOS危機一発」を試聴できる。
DSTD06921

 

スパイキャッチャーJ3/NET(現テレビ朝日)系・1965年10月7日〜1966年3月31日(木曜夜7時)放送・全26話
左からJ2(江原真二郎)、J1(丹波哲郎)、J3壇俊介(川津祐介)
スパイキャッチャーとは、ニューヨーク国連本部にオフィスを置き、世界各国に支部がある国際警察秘密ライン
<THE UNDERCOVER LINE OF INTERNATIONAL POLICE>の日本支部エージェント。彼らの活躍を描いた
30分番組。前編後編スタイルで60分番組1クールと同等。
現存するフィルムがNo.1「SOSポラリス潜水艦(前編)」No.2「SOSポラリス潜水艦(後編)」、No.4「SOS火山トンネル(後編)
そしてNo.23、24を編集し1966年8月3日に劇場公開した「SOS危機一発」のみ。詳細はWIKIPEDIAで

訊くところによると、昭和30年代のテレビドラマは各作品当時数話を除いて放送後処分されていたらしい。
「特別機動捜査隊」もモノクロ作品は100話分ほど欠落している。
キイハンター」モノクロVerが全話保管され試聴できたことは本当にありがたいことだった。


  

スパイキャッチャーJ3は漫画版(マンガショップ刊)、小説版『暗殺教程』(光文社文庫刊)で読むことができる。
小説版の『暗殺教程』は大人向けに手直しされたスパイ小説。舞台も日本、香港、マカオとスケール大きく描かれている。
尚、小説版ではJ3のネームが、
壇俊介ではなく 吹雪俊介 となっている。シナリオ「SOSポラリス潜水艦」も掲載。

このスパイキャッチャーJ3をベースに丹波哲郎氏を中心とした秘密捜査官もので制作されたのが『キイハンター』である。
ここでは中盤戦からのハデなアクションをウリにした知名度の高い「キイハンター」と共に、「Gメン75」の元となった<和製
ハードボイルド>を目指した「キイハンター」モノクロ編にもスポットを当ててみたいと思う。
和製ハードボイルドを目指したとはいえ、当時の『キイハンター』は『Gメン75』ほどシリアスではなく、ラストにオチや笑いを
入れ明暗バランスを取った作風が新鮮だった。
しゃれた外国映画のムードを巧みにドラマに取り入れ、初期はかなり丁寧に構成された作品が目立った。

2004年1月、ファン待望の初期モノクロ編がCS放送を通じてお茶の間に36年ぶりにお目見えした。
カラー編と異なるのは、初期は黒木ら『キイハンター』が国際警察特殊スタッフという位置付けよりも、警察と一線を画する
私設警察的な市民集団として描かれている点である。
第二話では、黒木が部屋の家賃滞納による追い出し阻止を賭けて動き出すという何ともいえない設定も・・・。
69年秋に差し掛かる頃は、ようやく『キイハンター』のメンバーも”国際警察の一員”として悪党どもに語るようになり、徐々に
秘密警察としての性格付けを強調して行くことになる。

初期は社会からドロップアウトした大人たちの静かな反抗を秘めたアダルト路線だったが、カラー編に近づくに連れ、アクショ
ンやナンセンス・ギャグを全面に押し出した作品も織り交ぜ、様々なジャンルを取り入れる作品に変貌していった。
カラー編末期は大人向けというより、視聴対象年齢もかなり低く設定したような作品も多く見られ、何でも有りという独特な
世界観を確立して行く。
後にも先にも他のドラマの追随を許さない”特異なジャンルのテレビ映画”としてその名を後世に残している作品である。


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 ■以下は作品がスタートした頃の週刊TVガイド誌の番宣記事。
 初期『キイハンター』は反骨精神あふれるメンバーたちの大人向けの痛快アクションドラマを目指していた。
 既にバラエティあふれる素材をウリにした構成が紹介されていた。
 このスタンスは後の『Gメン'75』を代表とするハードボイルド・シリーズの制作手法に継承されている。
 興味深い一文として紹介しておきたい。

 
 
週刊TVガイド誌より(誌面はカラー)

 
”企業組織の中に安住できなかった不満を爆発させることに生きがいを感じる者たち”
 こんなことが台本の最初に書いてあるが、むつかしい番組が始まったなどと嘆かれるな。
 丹波哲郎、野際陽子など五人のレギュラーメンバーのカッコいいアクションドラマだ。
 お色気もたっぷり入って、けっこうな味つけだよ。


 
さぁお立会い。
 各局パーッと出そろった新番組。それぞれに装いをこらして皆さまのゴキゲンをとりむすぼうという寸法。
 アクションもあれば恋もある。
 しっかりと泣かせる人情話もあれば空想科学ものもあるというデパートなみのにぎやかさ。
 どれがお気にめすやら、めさぬやら。ともかく見る方としては面白いものをつくってもらえば文句はないよネッ!



 

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