プロフェッショナル・キイハンター、次の赤いシグナルは・・・
No.2 非情の唇 (68年4月13日放映) |
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脚本・池田雄一 撮影・下村和夫 監督・深作欣二 原案・河野典生 出演者・黒木、啓子、風間、島、ユミ 主役・啓子 ゲスト・高毬子、岡田真澄、室田日出男、河合絃司ほか , |
☆CS「東映チャンネル」で2004年1月から放映が開始されたファン待望の モノクロ編!リアルタイム以来の感動を順次記録して行きたい。 第2話の予告編には村岡室長の姿があったが、本編での登場はなし。 芥川隆行氏のナレーションはスローテンポで大人のドラマを感じさせる 語らいが興味深い。 また、次回主演ゲスト名がクレジットされる点と、冒頭に番組名が大きく 表示される点もカラー編と異なっている。 第3話の予告ナレーションは『プロフェッショナル・キイハンター、さて次の 赤いシグナルは・・・』という出だしであった。 初期三部作では、まだキイハンターは設立されておらず、黒木らとの 関わりを深めて行くメンバー各々の個性の紹介といった要素が強い。 ユミちゃんもまだ大家の娘という点が強調されている。 この作品は後のシリーズ<SUPER POLICE>第2話 「ギャー!大列車ギャング出現!」 (仮題「ギャー!大列車ギャングだぁー」)でリメイクされている。 水上涼子を津川啓子に置きかえれば、キイハンター第2話にほぼ近いスト ーリーとなる。舞台は箱根。 今回の事件を解決した啓子は、パリに帰ることを断念し、黒木らの仲間に 加わる決意をする。 −あらすじ− 啓子は、スイス銀行預金者へのユスリ事件を解決した後、パリへ帰国しよ うとしていた。黒木は啓子のスパイとしての腕を見込んで何とか帰国を 断念させようとしていた。 そんな時、3年前にUSA銀行を襲撃した三人組の一人・川村が香港で 仲間の李と有田に殺された。彼は殺される前に、娘の花恵に手紙を書い ていた。 その手紙には、100万ドルの隠し場所が途中まで記されていたのだ。 花恵は、隠した金を取りに来る李と有田の裏をかき、その金を奪って父の 果たせなかった犯罪を完成させようとする。 自分の命を狙っている李と有田に、他の女を自分の身代わりとして消させ ようと画策。その女に選ばれたのが啓子だった。 花恵の意を受けたカメラマン・中尾が、持ち前のプレイボーイぶりを発揮し て啓子に近づいて来た。執拗にカメラを向ける中尾に啓子の堪忍袋の緒 は切れ中尾の名刺と花恵宛の航空便を抜き取った。 そこには、盗まれた100万ドルの隠し場所として<赤い屋根の部屋>と 記されてあった。事件の臭いをかぎつけた黒木らが、行動を開始する。 一方、中尾は花恵と啓子を入れ替えた合成写真を作り上げ、それを李と 有田にチラつかせる・・・。 |
No.3 誘拐の城 (68年4月20日放映) |
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脚本・高久進 撮影・西川庄衛 監督・鷹森立一 原案・海渡英祐 出演者・黒木、啓子、風間、島、ユミ / 村岡室長 主役・全員 ゲスト・アバナイ、イーデス・ハンソン、瞳麗子、 北原義郎、ハンス・ホルネフほか 協力:東海地所株式会社 |
☆オープニング・村岡室長のカットが第1話、2話のものから変更されたこと。 <国際警察 村岡特別室長> エンディングで仲谷昇氏がクレジットされているが、声のみの登場であったこと。 企画書にあるキイハンター結成の過程が本編では描かれていなかったこと。 ・・の3点が判明した。 (組織設定では『Gメン'75』No.2「散歩する囚人護送車」と同様の処理) 企画書では今回で秘密捜査グループ「キイハンター」が正式に設立される点が 紹介されてあるので、あらすじは本編と合成しておきたい。 キイハンターと国際警察を結ぶポジションにいるのが、特別室の村岡室長。 警視庁とGメン75を結ぶ位置にある小田切警視の原型ともいえる設定が 覗える。 治外法権で守られている大使館に潜入し、事件を痕跡すら残さず極秘裏 に解決しなければならない任務に挑戦する黒木ら5人の冒険者たち。 一度は警察という権力機構に背を向け自由の道を選んだ黒木だったが、 事件解決後、条件付で再び村岡と手を組むことを決意。 その過程をハードボイルドタッチで描いてゆく。 黒木ボスのみならず5人全員が活躍する集団捜査編であった。 尚、ゲルハルト博士役のアバナイ氏はクレジットされていない。 ★広告主から待った・野際陽子のPR写真(68年4月19日・スポーツニッポン) 『キイハンター』は、丹波哲郎主演のスパイもの。アクションドラマに色を添える のが野際陽子でセクシーな網ドレス姿で、宣伝宣伝写真を撮るほど大変な 意気込み。彼女のファイトにPR効果もまずまずで、スタッフも大喜びだったが それもつかの間。 「その写真まかりならぬ!」の声がかかったのだ。この網ドレスは芸能人に ごひいきの多い、ルリ落合のデザイン。「待った!」とクレームをつけたのは スポンサーのT社で、実はこの社、かつて落合と仕事のことで大喧嘩。それが 糸を引いてという訳だ。スタッフはそんなことがあったとは知らず、落合に依頼。 これを着た野際の写真を、都内の有名喫茶店のレシート裏に印刷させ、宣伝 に追い打ちをかける手はずも進めていたわけだが、なにぶんにもスポンサー が「ノー」ではそれもダメ。そのためこの網ドレスを使っての話題提供は遠慮 しようと決めたが、皮肉なもので、都内の某有力キャバレー・チェーンから 「ウチの女の子にあの手の衣装を着せたいが、デザイン権を・・・」の申し込み まである始末。「先様から宣伝をさせてくれなんて話はそうあるもんではない。 でも、そんな時に限って・・・」と、スタッフは恨めしそうな声を上げている。 −あらすじ− 国際警察の村岡室長は、有能な諜報部員だった黒木の腕を惜しんでいた。 村岡は思い切って黒木にある事件の捜査を依頼した。 京都で開催された宇宙科学総会に出席したゲルハルト博士の誘拐事件の捜査 である。 彼は某国大使館に連行された疑いがある。治外法権の大使館から博士を救出 するよう黒木に打診。 黒木は現役だった頃、敵に煮え湯を飲まされた苦い経験がある。 あの時の男・ニコラス ルーミスが事件に絡んでいる。黒木は色めき立つ。 ニコラスは誘拐を専門とする国際犯罪者で国際警察がマークしていた男だった。 啓子は相手がプロであることに闘志を燃やす。 黒木らは奇想天外な発想で大使館に潜入、極秘捜査を展開する。 そしてこの事件を解決したとき、村岡は黒木を特殊スタッフとして任命することを 確約。組織の拘束はしないという条件付で協力することに黒木は合意。 人間的な失敗をも許さない無機質な権力機構を毛嫌いし、現役を退いた黒木 だったが、この事件をきっかけに国際警察特別室特殊スタッフの身分を引受け る。それは村岡と黒木のみが知る秘密の捜査協力体制であった。 津川啓子、島 竜彦、谷口ユミ、風間洋介も加わった。 いつしか彼らは自分達のことを、「キイハンター」<事件の痕跡を残すことなく 秘密裏に解決する事件の鍵の狩人>と呼ぶようになった。 |