座談会・・・チームワークは抜群
『キイハンター』のメンバーとスポンサー
「ハードボイルドアクションシリーズ」の原点・キイハンター。放送当時のレギュラー陣による
座談会の記録です。作品に関する部分のみの抜粋ですが、放送当時の雰囲気を少しお楽しみ
いただけるものと思います。
<以下週間TVガイド誌・1969年9月より一部抜粋>
1年半を迎えて、ますます好調の『キイハンター』。ボスの丹波哲郎を中心に、千葉真一・
野際陽子・大川栄子、そしてつい最近メンバーに加わった川口浩らに、スポンサーである
<明治乳業>の販売代表4人が人気の秘密をズバリ解剖。
当時のTVガイド誌特集記事より
司会「普段聞いてみたかったこと、話してみたかったことをこの機会にどしどし聞いてください」
S 「テレビで見ていると、千葉さんのアクションは迫力ありますが、今でも機械体操をやって
いるんですか?」
千葉「本格的な機械体操はやっていませんが、怪我をしないためにいつも体だけは柔軟に
しています。大学時代(日体大)は、山下跳びの山下と一緒にオリンピックに出ようなんて
張り切っていた時代もあります。」
M・S「雑誌や新聞でケガ続出の記事を読んだのですが、そんなに危険なものなんですか?」
丹波「ケガばかりを大きく扱われるんで、我々としては不本意なんだよ。(一同うなずく)
まあ危険といえば危険なんだが、それだけみんなが真剣に演っている証拠だと思う。」
千葉「ケガをするからといって、怖がって演ると、かえって危ないものですよ」
司会「ところで皆さんは『キイハンター』の面白さは何だと思いますか?」
S 「何と言ってもアクションです。それと、チームワークのよさが目立ちますね」
川口「そう。それは絶対だね。僕は途中から加わった半端ものですがね。(爆笑)スンナリと
溶け込める雰囲気がありますよ。」
野際「それ、お世辞じゃないの。(大笑い)栄子、なんか言いなさいよ」
大川「ボス(丹波)はじめ、冗談ばかり言って笑わせるので、和気あいあいのムードは確かに
あるわ」
A 「地方ロケが多いので、景色がきれいでしょうね」
千葉「そりゃ、絶対だよね。地方ロケで知らない土地に行くと、思わぬいい場所があったりして
思いっきり活躍できるんだな」
M・S「うちの連中に言わせると、最初の方が面白かったと言ってるんですが」
丹波「昔の方がシリアスだったから、緊迫感があったのは事実です。でも、最近のものはいろ
んなパロディーがあって面白いでしょう」
野際「ボスったら、押し付けてるみたいね。(笑い)」
W 「『キイハンター』は海外ロケには行かないんですか」
丹波「行く行くって、掛け声だけはよくかかるんですがね(笑い)、沖縄へ一回行っただけだな」
川口「沖縄ロケっていえば、凄まじかったなァ。子供があんなに恐ろしいと思ったことは生れて
初めて」
野際「ほんとね。子供のファンが黒山のように集まってきて、何十本という手があちこちから
伸びて、持ってるもの全部ふんだくっちゃうんですよ」
丹波「野際なんか、スカートの中まで手入れられちゃったなぁ(爆笑)」
野際「助けて!なんて叫んでも、誰も助けてくれないんですもの」
W 「私なんかも、子供に勧められて『キイハンター』を見るようになったぐらい子供のファンは
多いですよね」
A 「相手が子供では手荒なことも出来ないで困ったでしょうね」
丹波「しまいにはおまわりさんが出動してくれて、<危ないから隠れなさい>なんて暗い所で
何時間も潜んでいたな(笑い)」
千葉「そこで犬に吠えられちゃって、キイハンター形無しでした(笑い)」
大川「沖縄でも凄かったけど、九州の時も酷かったわね」
丹波「そう。人、人、人の波で、最後にデパートに閉じ込められて、お茶ばかり飲まされたあげく
便所にまでも行けなかった(笑い)」
S 「野際さんや大川さんは女性なので困ったでしょう?」
野際「我慢しなけりゃ、あなたしょうがないことよ(爆笑)」
丹波「子供のファンは、群衆で来るのでまずびっくり。大人の困るのは酔っ払いですね。
宿の廊下にそういう連中がいて、ドアを開けるとなだれ込んでくるんですよ」
川口「用事がある時は、いっさい電話を使って、ドアは開けなかった(笑い)」
S 「地方ロケに行っても夜は歩けないでしょうね」
千葉「岡山のときは、最後の最後まで一歩も出なかった。まるで監獄に入ったみたいだったな
(笑い)」
野際「私や大川なんか要領いいからちょっと変装して飲みに行ったりしたわよ」
A 「顔を知られているから見つかるんじゃないですか」
野際「とぼけちゃうの。それでもダメだったら、すたこら駆け出してかえってきちゃう」
・・・・・(中略)・・・・・
司会「ところで、販売店の中では『キイハンター』の誰に一番人気がありますか?」
千葉「僕ですか?それともボス?川口ちゃん?Aさん(女性)に聞きたいな(笑い)」
A 「目の前にしていえませんわ。厳しいですよ。(大川と野際「そうよ、そうよ」と助け舟を
出す)
S 「若い人は千葉さんファンが圧倒的に多いですよ」
千葉「(即座に)男ですか、女ですか?」
S 「いや、男です(爆笑)」
千葉「なんだ、つまらないや(笑い)」
M・S「ぼくは、大川さんのファンなんですが、どういう人に魅力を感じますか?」
大川「普通の男の子は話題が少ないし、物足りないと思う。やっぱり仕事を持った大人の人を
選びます」
司会「話しが煮詰まってきたところで、今夜は『キイハンター』の人達にどんなものをやってもら
いたいですか?」
A 「海外ロケをして、カラーをふんだんに生かしてもらいたい」
W 「子供さんはこりごりだとおっしゃっていますが、現代のテレビはどちらかというと
チャンネル権は子供が持っていますので、子供ファンも大事にしてほしいと思います」
M・S「ぼくの場合、俳優さんで見るので、ゲストにいろんな人を呼んでほしい」
S 「怪我をしないように、これからもアッと驚くアクションを見せてください」
丹波「代表してスタッフの人たちによくいっておきますから(笑い)」
M・S「青少年がアクション・ドラマからヒントを得て犯罪を起こすことをどう感じますか?」
丹波「そこまで考えたら何もできないし、怖いですね。あくまでも『キイハンター』のメンバーは
悪を滅ぼす使命を持っていることを忘れないでください」
・・・・・(以下略)・・・・・
出席者:明治乳業販売店代表者
浅草寿町販売店 S様
中板橋販売店 W様
高円寺南販売店 M・S様
赤羽西販売店 A様
丹波哲郎、野際陽子、川口浩、大川栄子、千葉真一(欠席:谷隼人、仲谷昇)敬称略