しば No.130 縛り首の木の ある家 (脚本)小山内美江子(撮影)東光一(監督)山内柏 (出演)中原早苗、戸浦六宏、藤木孝、室田日出男、近藤洋介、 堀田真三ほか (登場レギュラー)啓子、ユミ、風間 (主役)啓子 ☆富士山麓の高原を舞台に、人間をさまざまな角度からハードボイルド・タッチで描く 社会派作品。 旧日本軍の戦争犯罪と動乱の東南アジア某国の政権をかけた政府軍と反政府ゲリラの 血みどろの死闘。 純粋に民族の誇りを奪い返そうとするエキセントリックな女性とその弟。 反政府ゲリラの中に潜む私利私欲が渦巻く裏切り。70年(カラー作品)の中では最も <人間>を痛烈に描写した作品として記憶に残っている。 政府側と反政府側を単なる善・悪として捕えていないところも上手い。 絶妙なバランスのアクションと心理描写、そして作品に貫かれているテーマ・・。 この制作スタンスは「Gメン75」へと継承されて行く。 「キイハンター」は「Gメン75」など一連のシリーズの原点であることを、改めて感じることが できる。啓子の洒落たセリフにもご注目。 重厚かつスピーディな展開で一気に見入ってしまう秀作である。 携帯電話のなかった1970年。時計に仕掛けた無線で救出を依頼する啓子のシーンは 実にスリリング。 −あらすじ− 啓子は学生時代の友人・松井達也の招待を受けて富士山麓の山荘に向った。 彼は作家として活躍している男だ。達也は啓子に相談したい事があるという。 山荘に到着した啓子は、謎の女と男たちの出迎えを受ける。 女はルカといい達也の妻だという。しかし彼は独身のはず。不審に思った啓子は達也 に問いただすが、帰れと言い放つ。 男と女たちは達也の山荘で、あるメモを探していたのだ。そのメモには第二次世界大戦中 日本軍が東南アジア某国で略奪した国宝<マタロの神>の有りかが書かれてあるという。 某国政府はクーデターで政権を取ったが、反政府軍は民衆を味方に政権奪還を狙って 山岳ゲリラとして活動していた。ルカは民族の誇りを奪った日本人への憎悪を煮えたぎらせ ていた。 彼らはゲリラの一員で国宝を奪い返す為に、密かに日本に潜入していたのだ。 達也の山荘は旧日本軍が使用していた秘密の場所で、マタロの神を奪った軍人が使用して いたらしい。 啓子は達也とともにゲリラたちの手中に落ち、風間とユミに救援の信号を送るがうまく 行かない。そんな中で自分たちの活動方針に疑問を抱いたルカの弟・マルトが、啓子に 手を貸そうとする・・。 |
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