響 圭子刑事
 
 ☆警視庁外事課(アメリカ担当)よりGメンに加入した国際捜査官。
 英語、フランス語が堪能で、フランスやベルギーでの国外捜査でも多いに活躍した。
 (No.86「
パリ警視庁の五百円紙幣」〜88、94)
 No.1「
エアポート捜査線」より登場。
 潜入捜査も得意で、国際線スチュワーデスに扮し、サンフランシスコのマフィアに接触。
 黒木の密命を受け麻薬ルート摘発のため組織の動向を内部から探った。
 No.2「
散歩する囚人護送車」やNo.8「裸の町」などでもお得意の潜入捜査ぶりを発揮した。

 初期の響刑事は、落ち着いた雰囲気の女性Gメンというより、おきゃんな女性という感じ
 だった。
 当時の「週刊TVガイド」(東京ニュース通信社刊)での記事では、番組スタートにあたって
 <「派手なアクションと目のさめるようなファションをお見せします。」とハッスルしている。>
 <語学堪能で、インターポールにも顔が広い国際的な視野にたつ外事課勤務の
  女性刑事という設定。スポーツ万能。大の男を軽々と投げ飛ばしたりすることに
  なっている>・・という内容で紹介されていた。
 No.2「
散歩する囚人護送車」では、ギャング一味が占拠している牧場で、馬に乗って颯爽と
 登場する活動的な面が見られた。乗馬の腕もなかなかのものである。



 そんなアクション派も、回数が進むにつれ、アクション一辺倒ではなく、女性としての
 細やかさ、芯の強さ、相手がどんな地位の人間であろうとも、悪に怯むことなく真っ向から
 立ち向かう一面が描かれていった。
 No.49「
土曜日21時のトリック」での悪徳弁護士との取調室での心理戦。
 No.92「
女の留置場」やNo.103「また逢う日まで響圭子刑事」でも同様の心理的な闘い
 に彼女の強さが覗えた。
 No.59「
東京−沖縄 縦断捜査網」からの沖縄シリーズでは、沖縄の人々の苦難の歴史
 を知らずに現地入りし、さまざまな憎しみ恨み哀しみとぶつかりながらも捜査を続け
 けして本土の人間には理解できない現実を自ら背負って痛恨の一弾を放つ姿には
 感動さえ覚えた。

 一方、No.79「
24749の遺体」やNo.97「嫁・姑・孫の戦い」などで見られた他人への
 ヒューマンな接し方、思いやりはハードボイルドな物語の中で一際光っていたのも
 事実である。
 No.47「
終バスの女子高校生殺人事件」のように時として、良かれと思ってした行為が
 裏目に出てしまうこともあり、悩むことも多かった。
 ハードボイルドになりきれない人間性は、Gメンの捜査に疑問を感じ、反発することさえ
 あった。(No.66「
警視庁の中の密室殺人」)
 このような響刑事の姿は、多くの視聴者の心を捉えて離すことはなかった。

 そんな響刑事であるが、幾度となくピンチに陥ることもあった。
 No.3「
警官殺し!」を始め、No.6「コルト自動拳銃1911A1」、
 No.16「
Gメン皆殺しの予告」、No.21「ニューヨーク市警黒人刑事」等々、敵の手に落ち
 黒木警視を幾度となくハラハラさせたものだった。
 No.40「
硫酸とビキニの女」では、目に硫酸のしずくを浴び、視力を失った状態でナイフを
 かざす老婆と洋館で闘ったことさえあった。
 またNo.55「
Gメンの首」では、ニトロと男の首を持った謎の女の罠にはまり、黒木に銃口
 を向けざるをえない最大のピンチもあった。



 唯一?心ときめかせた男性は警視庁の潜入捜査官・鷲見だった。
 しかし一縷の望みを託した響刑事の願いもむなしく、テロリストの一味として
 狙撃隊に射殺されてしまう。(No.13「
バスストップ」)

 当時、響刑事に憧れ婦人警官(現・女性警官)を目指す女性が増えたという記事を
 読んだ事がある。婦人警官というと、男性のサポート的な描き方が多かった当時の
 刑事ものであるが、Gメン75における響圭子刑事の描き方は、一人の人間として
 主体的に描かれていたことが新鮮でもあった。
 No.103「
また逢う日まで響圭子刑事」でGメンを降板。
 インターポールへ転属となり、主犯のマフィアの外人を追ってアメリカへ飛ぶ。
 尚、ノベルズ第2巻では、No.99「
安楽死」での生と死の間に置かれた現実に苦悩し、
 結婚を機にGメンを退職するという本編とは異なる設定になっていた。




 

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